07鹿島台エリア

大崎耕土の東部に位置し、現在は、平坦で広大な水田がどこまでも広がっている鹿島台地域。そこは、丘陵に囲まれた低い土地で、かつては一面の沼地でした。吉田川や鶴田川、そのほか中小の川が流れ込み、頻繁に水害を引き起こす場所でした。

そんな品井沼の本格的な干拓は江戸時代にさかのぼります。元禄(げんろく)年間(1700年頃)の工事では、丘陵を抜ける排水用の潜穴(トンネル水路)、元禄潜穴が作られ、品井沼が新田に生まれ変わります。しかし、この潜穴も長い年月が経つと土砂や木の枝などで詰まり、頻繁に水害が起こるようになり、たびたび改修工事が行われました。

シナイモツゴとは、品井沼で大正時代に発見された魚ですが、長い間、宮城県では絶滅したと考えられていました。幸運にも平成5年に旧鹿島台町内の桂沢で再発見されたものの、シナイモツゴが生息する3つのため池の1つでブラックバスが確認され、まさに、シナイモツゴの郷は危機的な状況にありました。

農家の高齢化や人手不足により、シナイモツゴの生息地となっているため池の管理が困難となり、シナイモツゴの絶滅が危惧される中、NPO法人シナイモツゴ郷の会は、農家と一緒にため池の沼さらいなどを行い、ため池の環境を守る取り組みを行っています。さらに、ため池の水を使って作った米に対して、多様な生き物が生息するため池であり、その水質を認証するものとして「シナイモツゴ郷の米認証制度」を設け、ブランド化にも取り組んでいます。米づくりに必要なため池の保全とシナイモツゴの住む環境の保全の両者の目的を果たすことで、持続可能な環境づくりを進めています。

「幻の品種」とも呼ばれる「玉光デリシャス」。栽培がとても難しいことから、これまでに多くの農家が栽培に挑戦してはあきらめてきました。全国的にも生産農家が少ないため、一般にはあまり出回っていませんが、JAや鹿島台地域の農家の直売所などで購入できます。デリシャストマトは、普通のトマトと比べて約半分程度の水で節水栽培された糖度の高いトマトで、果肉が厚く、甘さと適度な酸味のバランスが取れており、後味もさっぱりしています。

デリシャストマト祭りなども開催され、貴重なトマトの販売、もぎ取り体験、トマトの創作料理などトマトづくりのイベントが行なわれています。