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ミュージアムマップ
11美里エリア
名鰭沼遊水地におけるしなやかな水管理
鳴瀬川と江合川が流れる大崎耕土の下流域の低平地。
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名鰭沼遊水地を中心とした「減災」
美里町の南郷地域にある名鰭沼は、古くから大崎耕土の排水路である
江戸時代、この場所の新田開発のために、周辺の丘陵部に名鰭沼からの排水路としていくつかの潜穴(トンネル水路)が掘られています。しかし、一度大雨が降ると四方から流れ出た川の水で名鰭沼は溢れかえり、周囲に甚大な被害をもたらし続けました。
現在は、遊水地を確保して河川からの溢れる水を、一部の水田に逃がすことで、ほかの水田や集落への浸水被害を最小限にとどめています。遊水地として洪水時には浸水しますが、入植にあたっては浸水してもその補償を求めないことを条件とされた場所でした。
明治に入ってからは、名鰭沼と、丘陵を挟んで東側にある
たびたび遠田郡長と桃生郡長の間で争いが起こっていましたが、明治22、23年の大洪水を受けて一部住民が実力行使へと出ます。堀を埋めてしまうという事件が起こり、これに対し3つの裁判が起こされ、郡長は県に調停を求めましたが、事態は収束しなかったそうです。
裁判では解決しないことに気づいた住民たちは、根本的な用排水対策を検討し、治水工事、広淵沼の干拓と、長年の工事を経て、現在の名鰭沼の姿になっています。
鳴瀬川のハクチョウ
冬、鳴瀬川はハクチョウの飛来地となります。1000羽を超えるコハクチョウが飛来します。
鳴瀬川は中流部に位置する美里町までくると、流れがゆるやかになり、中洲が多くねぐらとして適した場所になります。美里町には餌場となる田んぼが広がり、雪も餌をとるのに困らない程度であることが、ここにコハクチョウが集まる理由です。
朝夕の飛び立ちとねぐら入りの光景や美しい鳴き声は冬の風物詩となっています。
美里の特産品「北浦梨」
北浦梨は、明治時代に旧中埣村の農家が、はじめて梨の苗木を導入し、続いて旧北浦村の農家が梨の栽培に成功したことが始まりとされています。大正時代から本格的な生産が始まり、現在の美里町北浦地区に定着しました。みずみずしくやわらかな食感の幸水をはじめ、豊水、あきづき、長十郎など様々な品種が栽培されています。宮城県内の梨4大産地の一つで、美里町を代表する旬の特産品です。
旬の時期には、北浦地域を通る国道108号沿いに梨の直売所が立ち並び、県内外からの人でにぎわいます。近年は北浦梨を使った「梨ストレートジュース」、「梨の冷製スープ」、「梨カレー」などの加工品を開発、町内の店舗でも買うことができます。地域の飲食店では梨を使ったデザートなどを食べることもできます。